カフェの開業、特徴ある農作物の生産、クラフトビールの開発など。連載特集「Good People」では、地域でチャレンジする人、チャレンジを応援する人を紹介します。
今回ご紹介するグッドピープルは“足立 あい”さん。福知山市の弘法川沿いにあるアメリカン・ベイク・ショップ『A BAKES(エー・ベイクス)』の店主です。以前は新町商店街にあるチャレンジショップ・アーキテンポに出店。約1年半の経験を積んだあと、2020年7月末に自分のお店を開業しました。
A BAKESさんのお菓子はどれも優しい味わい。しっとり柔らかな食感にふわりと香るバター、飾ることのない素材本来の美味しさを感じられます。今回、新しくオープンしたお店を訪ねました。
ーー:A BAKESさんのお菓子を初めていただいたとき、見た目のボリュームからは想像できない、軽やかに食べられるのが印象的で。それ以来、A BAKESさんのお菓子のファンになりました。
ありがとうございます。うちのお菓子は国産のきび砂糖、ブラウンシュガー、それに北海道のビート糖を使っていて。白砂糖やグラニュー糖を使ったケーキを食べていると、最初はいいけれど、あとからしんどくなるんですよね。どうしてだろう?と考えたとき、砂糖に秘密があるんじゃないかなって。自分のお菓子に使う砂糖を今のものに変えてみたら、食べるのがとても楽になったんです。


ーー:食材にもこだわりがるんですよね。
そうですね。食材は福知山や周辺の地域を中心に旬のものを取り入れています。人気なのはミヤサイさん(福知山市の農家)や市島産の人参を使った『キャロットケーキ』。すりおろした人参を入れているので、生地に弾力が生まれて、もっちりとした食感を楽しめますよ。うちのお菓子は甘さをなるべく控えているので、果物や野菜など、食材本来の味を感じてもらえると思います。


ーー:アーキテンポには2019年4月頃から出店されていましたよね。開業するまで約1年半で得たことが、今になって役立っていると感じることはありますか?
店舗運営やお菓子づくりの経験を積めたことはもちろんですが、A BAKESの存在を知ってもらったこと、ファンになってくれるお客さんが増えたことが大きいですね。今でも通ってくださっている常連さんもいるので、いきなり開業するのではなく、アーキテンポでのワンステップを挟んでよかったと思っています。
ーー:他所に出店していた時と比べて、自分のお店を持つことでどのような違いを感じていますか?
お菓子を焼きながら接客できるのも利点ですし、お客さんにとっても、決まった時間・場所でお店があるのは安心できると思います。ただ、すごく分かりにくい場所なんですよね。それでも、わざわざ探して訪ねてくれたり、何度も足を運んでくれたりするお客さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
ーー:確かに中心市街地からちょっと離れていますよね。あえてこの場所にお店を構えた理由ってなんでしょうか?
アメリカやイギリス、オーストラリア、これまでいろんな海外を訪れてお菓子を食べ歩いていたのですが、なかでも田舎町にぽつんとあるお店が大好きで。自分もそんな小さなお菓子屋さんにしたいなって考えていたとき、この場所を知り合いに紹介してもらいました。
候補地として中心市街地の空き店舗もいくつか紹介してもらっていたのですが、あえて郊外のほうが自分の性格にも合っているかなと思って。窓の外に見える景色がとてもいいんですよ。目の前の川に大きな鳥がいたり、背景に山を見渡せたり。今後、イートインスペースをつくる予定なのですが、お客さんにもゆっくり過ごしてもらいたいですね。
ーー:自然豊かな景色を眺めながらのブレイクタイムはとても素敵でしょうね。最後にお聞きしたいのは、地元の福知山にお店を持つ意義について。ご自身のなかではどのように感じていますか?
自分が住んでいるまちに、ふらっと出かけられる場所がある。それって、とても大切なことだと思うんです。私にも福知山市内にお気に入りの飲食店さんやお菓子屋さんがあるのですが、市外・県外に遊びにいくのが難しい世の中になって、そのありがたさをより感じるようになりました。自分が暮らす地域にあるお気に入りのお店。地元に暮らす人たちにとって、A BAKESがそのひとつになればいいなって思っています。
– Information –
A BAKES
住所:〒620-0061 京都府福知山市荒河東町46-1
営業時間:金・土・日・月の11:00〜18:00(SNS要確認)
WEB/SNS:instagram|Facebook
※A BAKESのお菓子は季節によって変わります。この記事で掲載されているお菓子が店頭にない場合もありますのでご了承ください。