全国に何軒ものカフェがあるなかで、お客さんに選んでもらうためには工夫が必要です。方向性を定め、特徴を尖らせ、お店としての姿勢を明らかにしなければ、気づいてもらうことすら難しいでしょう。
2020年9月14日に開催された『カフェの学校』。第2回目【コンセプト編】では、お客さんに気づいてもらうための「目印」や「価値」について語られました。カフェを継続するため、開業前にこそ考えておきたい必須事項。当日の内容をレポートします。
お店に欠かせないコンセプトを考える
第1回目【基礎知識編】に引き続き、講師を務めるのは、『市島製パン研究所』の店主・三澤 孝夫さん。開店日には行列必至の人気店ですが、お店がある兵庫県丹波市の市島は、周辺に田畑だけが広がる場所。それでも都心部から車で訪れる人が耐えないのは、「コンセプト=目印があるから」と三澤さんは話します。
「一昔前まで、飲食店は料理が美味しければ繁盛していました。でも、今では美味しいものが溢れかえっています。方向性を決めたり、特徴を尖らせたり、お店の姿勢を明らかにしないと、お客さんに気づいてもらえない時代なんです」
数多あるお店の中から、お客さんに選んでもらうためには、そのお店にしかないコンセプトが必要。今回の講座では、カフェの開業・継続の肝となるような以下の内容が語られました。
・コンセプトがなければ開業できない、続けられない。
・コンセプト=お客さんがお店に辿り着くための目印。
・市島製パン研究所の大人気商品『ハンバーガー』開発秘話。
・商品を売るには「付加価値」がいる。
・コンセプトを考えるポイント。
・コンセプトを考えるために必要な習慣。
コンセプトが大切である理由について、『市島製パン研究所』で提供している大人気メニュー「ハンバーガー」の開発秘話をもとに語られました。きっかけは1993年の頃。三澤さんが兵庫県西宮市山口町にオープンしたパン屋『エスケール』の時代にまで遡ります。
1階にベーカリー、2階にはカフェを併設。パン食べ放題のパスタランチが人気で、予約は常にいっぱい! 田舎に佇む一軒家のカフェとして大繁盛! でも、ある日のこと。行列をみた三澤さんは「このままではダメだ…!」と危機感を抱きます。常に満席状態の人気カフェなのに…なぜ?
その後、三澤さんが取り組んだのが「お店のコンセプトを再検討」すること。そして、導き出されたのが『エスケール』でしか食べられない「ハンバーガー」をつくることでした。
アメリカ・ロサンゼルスに渡って本場を味を学び、東京の有名店を食べ歩き、三澤さんならではのコンセプトを考案。「パテはステーキ肉の手挽きでジューシーに」「肉汁をしっかり受けとめるドイツパンを使おう」など、こだわりが詰まったグルメバーガーが完成しました。ここで生まれたコンセプトは、『市島製パン研究所』の看板メニューとして受け継がれています。
メディアでも話されたことがない、貴重なハンバーガーの開発秘話。三澤さんがここで伝えたかったのは、『エスケール』ならではの目印=コンセプトを考えたことです。
「飲食店の開業だけでなく、ビジネスを始めるときにはコンセプトが欠かせません。中心に据える軸がグラグラしていると、お客さんもどう感じたらいいのか迷ってしまう。『何を売りたいか?』ではなく、『何を表現するために開業・起業するか?』をはっきりさせましょう」
最初に考えたコンセプトにずっとこだわる必要はありません。その時々のお客さんの反応や次代のニーズに合わせて、微調整したり、大きく舵を切ることも大切だと三澤さん。また、コンセプトと合わせて、商品に上乗せされる「付加価値」も考えるべきだと話します。
第1回目の講義のなかで、三澤さんは「開業前に人生設計を考えることが大事」と話していました。どんな飲食店をしたいのか、どうすれば幸せといえるのか。それは、コンセプトを考える上でも欠かせないことです。もちろん、すぐに答えが見つかることではありません。あなたがどのような”目印”を掲げたいのか。じっくりと時間をかけて考えてみてはいかがでしょうか。
カフェの学校 vol.2『アーカイブ動画』配信のお知らせ
第2回目が開催されたカフェの学校【コンセプト編】。開業する前に、理想や目標を棚卸しする時間をつくることが大切。講師・三澤さんの体験談をもとに、お店を長続きさせるための必須事項が語られました。
第1回目と同じく、「詳しい内容を知りたい!」「講座に参加したかったけれど日程が合わずに断念した」といった方には、当日の内容を収めた『アーカイブ動画』を配信していますのでご検討ください。
\\ 第2回目の内容 //
・コンセプトがなければ開業できない、続けられない。
・コンセプト=お客さんがお店に辿り着くための目印。
・市島製パン研究所の大人気商品『ハンバーガー』開発秘話。
・商品を売るには「付加価値」がいる。
・コンセプトを考えるポイント。
・コンセプトを考えるために必要な習慣。
第2回目のアーカイブ動画を視聴する