レポート

お店の“目印”を掲げよう!【第2回 カフェの学校「コンセプト編」】開催レポート

2020/10/07

数多ある飲食店の中から、お客さんに選んでもらうにはどうすればいいのか。その鍵となるのが「コンセプト」です。方向性を定めて、特徴を尖らせ、お店としての姿勢を明らかにする。お客さんに見つけてもらうための目印となるコンセプトが必要です。

2020年9月14日に開催された第2回【カフェの学校】コンセプト編。講師を務める『市島製パン研究所』の店主・三澤 孝夫さんの体験談をもとに、飲食店を長続きさせるための「コンセプト」について語られました。当日のイベント模様をレポートでお届けします!

お客さんがお店に辿り着くための目印

コンセプトとは、一般的に「全体を貫く基本的な視点・考え方」を指します。例えば、「新規開店するカフェのコンセプトは”古民家風”にしよう!」と決めたとしましょう。そのとき、店名やメニュー、外装・内装などを古民家風に統一します。

言い換えれば、お店の特徴や姿勢を明らかにすること。飲食店におけるコンセプトについて、三澤さんは「お客さんがお店に辿り着くための目印である」と解説します。

名物となる料理、食材のこだわり、メニューの特徴など、自分ならではの分かりやすい目印をつくることで、お客さんがお店を見つやすくなるわけです。

「一昔前まで、飲食店は料理が美味しければ繁盛していました。でも、今では美味しいものが溢れかえっています。方向性を決めたり、特徴を尖らせたり、お店の姿勢を明らかにしないと、お客さんに気づいてもらえない時代なんです」

数多ある飲食店の中から、お客さんに選んでもらうためには、そのお店にしかないコンセプトが必要。それは、三澤さんが看板メニューとして提供する「ハンバーガー」が生まれた背景にもつながります。

大人気「ハンバーガー」の開発秘話

兵庫県丹波市の市島にお店を構える『市島製パン研究所』は、行列・売り切れ必至の有名店。同店の人気メニューはアメリカンサイズの「ハンバーガー」ですが、三澤さんが開発したのはずっと昔のことです。

1993年、兵庫県西宮市山口町にオープンしたパン屋さん『エスケール』。1階にベーカリー、2階にはカフェを併設。パン食べ放題のパスタランチが人気で、予約は常にいっぱい!田舎に佇む一軒家のカフェとして大繁盛していました。

でも、ある日のこと。行列をみた三澤さんは「このままではダメだ…!」と危機感を抱きます。常に満席状態の人気カフェなのに、なぜ、そう思ったのでしょう?

「パスタ料理を提供しているにも関わらず、イタリアに行ったことがないし、イタリア料理店で働いたこともない。パスタについて、他のお店に太刀打ちできる自信がないことに気づいたんです。自分なりの工夫やこだわりを取り入れていましたが、このままではいつか頭打ちになると焦りを覚えました」

そこで三澤さんが取り組んだのが「お店のコンセプトを再検討」すること。そこから導き出されたのが、『エスケール』でしか食べられない「ハンバーガー」をつくることでした。アメリカでの修行時代にハンバーガーを食べ歩いていた経験、そして、パンのことなら誰にも負けないという自信から生まれたアイデアです。

アメリカ・ロサンゼルスに渡って本場を味を学び、東京の有名店を食べ歩き、三澤さんならではのコンセプトを考案。「パテはステーキ肉の手挽きでジューシーに」「肉汁をしっかり受けとめるドイツパンを使おう」など、こだわりが詰まったグルメバーガーが完成します。

その後、パスタランチの代わりに提供を開始。当初は1日に3〜4個しか売れない日もありましたが、徐々に各メディアから注目を集め、約1年後には大人気店へと復活! ここで考案されたハンバーガーのコンセプトは、『市島製パン研究所』の看板メニューとして受け継がれています。

コンセプトを考えるために大切なこと

メディアでも話されたことがない、貴重なハンバーガーの開発秘話。三澤さんがここで伝えたかったのは、『エスケール』ならではの目印=コンセプトを考えたことです。

「飲食店の開業だけでなく、ビジネスを始めるときにはコンセプトが欠かせません。中心に据える軸がグラグラしていると、お客さんもどう感じたらいいのか迷ってしまう。『何を売りたいか?』ではなく、『何を表現するために開業・起業するか?』をはっきりさせましょう」

最初に考えたコンセプトにずっとこだわる必要はありません。その時々のお客さんの反応や次代のニーズに合わせて、微調整したり、大きく舵を切ることも大切です。

実際、どのようにコンセプトを考えればいいのか。三澤さんはいくつかのポイントを教えてくれました。

例えば、「絞る・尖らせる」こと。飲食店を運営するとき、幅広いお客さんに利用してもらいたい気持ちは分かります。でも、逆に特徴がボヤケてしまい、誰にも響かないお店になってしまう恐れもあるのです。

「例えば、カレー屋さんを開店するなら、激辛メニューを提供したほうがいいですね。幅広い人に受け入れられたいと思って、中途半端な辛さにしてしまうと、甘党の人には辛すぎるし、辛党の人は物足りないと感じてしまう。99%に響かなくても、1%に響けばいいんです」

コンセプトを尖らせたほうが目立つし、本当に好きなお客さんなら、わざわざ遠方からでも足を運んでくれるようになる。メニューの特徴だけでなく、『市島製パン研究所』のようにオープン時間を絞るのもおすすめです。

また、コンセプトと合わせて大切なのが「付加価値」です。付加価値とは、商品に上乗せされる価値のこと。例えば、内装や外装、所在地、音楽、照明、サービスの質など、お客さんがお店について触れたり、見たり、関わったりする全てが対象となります。

「照明や家具、音楽など、こだわりたい付加価値はたくさんありますが、まず意識したいのは”ホスピタリティ”です。お客さんが想像していないようなサービスを提供すことで、食事のためではなく、店主や従業員に会うために通ってくれるようになる。『いらっしゃいませ』の一言だけでもお店の印象は変わりますよ」

他のお店との違いをつくるためには、料理の美味しさだけではどうしても限界があります。そこで、お洒落な照明や家具を置いてみたり、コンセプトを表現する音楽をかけてみたり、笑顔になるような接客を心がけてみる。付加価値を上乗せすることで、お客さんが何度も通いたくなる理由が生まれます。

最後に、三澤さんは「コンセプトを考えるためには、日頃の情報収集が欠かせません」とアドバイスを贈ります。

「例えば、パンの新商品を開発するとき、パンの知識だけではどうしても行き詰まってしまうんです。僕自身、ケーキのデコレーションだったり、流行の洋服の色合いだったり、全く違う情報源から着想を得ることがたくさんあります。常日頃からアンテナを張って、情報を引き出しに入れておく習慣をつけておきましょう」

三澤さんは女性雑誌やテレビ番組から、新商品開発のヒントを得ることが多いのだそう。また、仕入れた情報を頭の中で整理整頓して、すぐに取り出せるようにしておくのもポイントだと教えてくれました。

第1回目の講義のなかで、三澤さんは「開業前に人生設計を考えることが大事」と話していました。どんな飲食店をしたいのか、どうすれば幸せといえるのか。それは、コンセプトを考える上でも欠かせないことだと思います。もちろん、すぐに答えが見つかることではないでしょう。あなたがどのような”目印”を掲げたいのか。是非、じっくりと時間をかけて考えてみてください。

第3回【カフェの学校】資金計画・資金調達編

2020年10月12日に開催される第3回【カフェの学校】資金計画・資金調達編。どうしても苦手意識を持ちがちな「お金」にまつわることがテーマです。三澤さんのリアルな経験談をもとに、資金計画の考え方や金融機関との付き合い方、お金の借り方について解説してもらいます。

カリキュラムの関係で、第3回目がカフェの学校の最終回!飲食店だけでなく、新規事業の立ち上げを考えている方は必聴の内容となります。皆さまからのご応募をお待ちしております!

第3回目【資金計画・資金調達編】の詳細はこちら